降りやまない雪は、君の心に似てる。
「……べつに。私はただ池を見に来てるだけだから、俚斗のことは関係ない」
「素直じゃないね」
俚斗が私の顔を覗き込むようにクスリと笑った。
関係ない。関係ないけれど、やっぱりどうしても昨日の奇病のことは胸につかえている。
俚斗に対して偏見が生まれたとかじゃなくて、自分で勝手に調べてしまった言葉。
俚斗の病状が深刻化すると身体に大きな影響があることや、それが引き金で重大な障害を起こす危険性があること。
そして、過去に発見された患者は病気が原因で死亡していて、現在でも有効的な治療法がないということ。
奇病なんて全然現実的じゃないのに、書かれていた言葉は私が想像していたものよりずっと現実的だったから、ちょっと気持ちが浮いた状態になってるだけ。
「……俚斗はその身体でいて大丈夫なの?」
たくさん考えたけど上手く聞ける自信がなかったからシンプルなものになってしまった。
「うーん。今のところは。あ、さては俺の奇病について調べたね」
ギクッと動揺が隠せない。それでも俚斗は「あはは」と笑って病気とは裏腹に深刻さは見せなかった。
「調べるよねー。逆の立場だったら俺も気になって調べちゃう」
俚斗はいつも明るい。それでも絶対に昨日見せた余裕がない顔みたいに明るくない俚斗もいると思う。