降りやまない雪は、君の心に似てる。


「……俚斗はその病気が発病して何年になるの?」

「えっと、今年で7年かな」

……待って。それってつまりあの文面に書かれていた生きられる年数をとっくに過ぎてるってこと?

奇病のこともまだ分からないことが多いのに、私の中に知識がなさすぎて、まだ受け止めきれない。


「俺が5年以上生きてるってどこかに発表すれば一躍有名人になっちゃうかも」

へへ、と話している内容とは真逆の表情をする。


「……薬もないんでしょ?」

「うん。身体が痛むときは市販の痛み止めを飲んでるぐらい。まあ、持続性があるかはわからないけど」

その痛みがどんな感じで、どれほどのものなのか私には想像もできない。


……発病してから5年以内。その言葉だけを心で何回も繰り返した。それでも年数が過ぎていることも俚斗がそういう状況にいることも、やっぱり全然リアルじゃない。


「こ、これから奇病の研究とかが進んで、もしかしたら薬が開発されるかもしれないし、俚斗がこうして生きてるってことはなにか特別なことが起きてるわけで、今までの事例は関係ないっていうか、あてにならないっていうか……」


私はなにを必死で言ってるのだろう。

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