降りやまない雪は、君の心に似てる。
「そうだね。奇病もごく稀なものだし、これから100年ぐらい生きられちゃったりしてね」
俚斗の笑顔を見て自然と手に力が入った。
……私はバカだ。
頑張ってる人に頑張れと言ってるみたいに、できないことをできるよと言ってるみたいに、こんなのは私の一方的な押し付けにすぎない。
ただ、認めたくなかった。
俚斗が生きるとか死ぬとか、そんなギリギリの場所にいるってことを。だから薬ができるんじゃないかとか、俚斗だけは特別なんじゃないかとか。
俚斗のために言ったんじゃない。
私がそんな風に思いたかっただけだ。
そのあと私たちの近くには同い年くらいの学生たちが「イエーイ!」と池をバックに記念撮影をはじめた。
その騒がしい声がやたらと耳に響いて、青春を謳歌してるって感じ。
だれも私たちが深刻な話をしてるとは思わないだろう。もっとも俚斗本人が深刻さを見せないから、私もそれに甘えてしまう。
「小枝は学校どんな感じ?」
俚斗が話を変えるように言う。
「嫌いな感じ」
コンマ0.1秒の即答だった。
「はは、嫌いかあ」
何故か俚斗は嬉しそうな顔をしていて、嘘でも楽しいと言えばよかっただろうか。
いや、嘘でも言いたくなかった。私は嘘つきだけど、楽しくないことを楽しいと言えるほど器用じゃない。