降りやまない雪は、君の心に似てる。
そして私たちはまた同じバスで帰ることにした。晴れていた太陽は雲に隠れてもう見えない。
バスの中の窓ガラスが曇るほど外の気温は下がりはじめていて、カイロを持ってくればよかった。
「そういえばさ、俚斗はいつも何時くらいから青い池にいるの?」
私も時間はバラバラだけど、私が行くと俚斗はいつも先にいるから気になった。
「うーん、決めてないけど大体お昼前にはいるよ」
「なにしてんの?」
「えー。池に池を見る以外やることってある?」
なんで私が的外れなことを言ったみたいになってるんだろうか。あそこには池しかないし、代わり映えはしないし、観光客だって滞在時間は30分程度。
とくにこの時期はもっと短くて写真だけ撮って帰る人がほとんどだから、要するに長い時間池にいても暇ってこと。
「べつになにかをしに行ってるわけじゃないんだ。ただあの場所に行くと不思議と気持ちが落ち着くんだよね」
「スピリチュアル的な感じ?」
「そんなこと言うなんて小枝は女の子らしいね」
「なにが」
「好きじゃん。女の子って。そういう神秘的なもの」
俚斗にちょいちょいバカにされてるような気がしてならない。こっちは真面目に言ったのに上手く流された気がして、それ以上話を広げることはしなかった。