降りやまない雪は、君の心に似てる。
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「おかえり。小枝」
家に帰るとおばあちゃんがすでに晩ごはんの準備をしていた。今日のメニューは松村さん家からもらった鮭を使った料理ばかり。
その中でもおばあちゃんが作る三平汁は絶品で大根と人参。そして贅沢に鮭がたくさん入っていて、ひと口飲んだだけで冷えた身体が暖まった。
「私が来てからムリしてない?料理も簡単なものでいいからね」
おばあちゃんのご飯はどれも美味しいけど、いつもおかずを3品以上作ってくれるから心配になる。
「ムリなんてしてないわ。嬉しいのよ」
「嬉しい……?」
「食べてくれる人がいると作り甲斐があるってこと」
おばあちゃんはきっとこの広いリビングでひとりでご飯を食べていたのだろう。その姿を想像するとなんだか胸がきゅっと締まる。
「小枝はいつもどんなものを食べてたの?尚子はちゃんと家事をしてる?」
「ご飯は適当に食べてるよ。家事は……気が向いた時にしてるぐらい。夜遅くに帰ってくることが多いからあんまり顔は合わせないけど」
最後にお母さんの顔をちゃんと見たのはいつだっけ。
思い出せないほど私はまともにお母さんと話していない。
「……まったく。あの子はいつまでフラフラとしてるつもりなのかしら」
おばあちゃんの顔が険しくなったところで、私は上手く話題を変えて重たい雰囲気を作らないようにした。