降りやまない雪は、君の心に似てる。
そんな話をしている内に小さな米粒のようだった雪がいつの間にか大きなものへと変わり、今日は早めに帰ることになった。
「また滑らないでね」
「わ、わかってるよ」
バス停まで続く遊歩道はやっぱりアイススケートリンクのような状態で、私はぎこちないペンギン歩きでなんとか転ばずに済んでいる。
「いま走ろうって言ったら怒る?」
「当たり前でしょ。私のお尻を粉々にしたいの?」
「あはは、それでも小枝のお尻は可愛いから大丈夫だよ」
「見たことないくせに」
「見せてくれるの?」
「……っ」
俚斗が変なことを言うから危うく転びそうになってしまった。俚斗は嘘をつかないけれど表情が変わりづらいから、どこまでが本気でどこまでが冗談なのかが分からない。
俚斗の「フッ」と意地悪に笑う口角を見て、何故か胸がドキドキとうるさい。
なんなんだろう、この気持ちは。
不安定な足元で心臓がバカになっているだけ?
「ねえ、そういえばさ」
「は、は、はい?」
胸の鼓動がまだおかしいのに俚斗が急に話し出すから、なんだか〝らしくない〟返事をしてしまった。