降りやまない雪は、君の心に似てる。


「青い池のライトアップって見たことある?」

……ライトアップ?

ああ、そういえば11月から2月までの期間中だけやってるんだっけ。その時間帯に合わせてバスツアーが組まれているほどの人気だけど私は行ったことがない。


「見るなら暗いほうがいいよね。綺麗だし。って小枝は門限とか厳しい?」

「……ううん。平気」

「じゃあ、今度一緒に行こうよ。ね?」

反則的に可愛い〝ね〟。そんな風に言われたら断れないし、私もいつかライトアップは見たいと思ってたけど。


「それとも俺と行くのがイヤ?」


イヤと言ったら俚斗はどうするんだろうか。「そっか」と眉を下げてそのあとは私に気を遣って元どおり。

ちょっとズルいな。誘われると思ってなかったから心構えが全然できてなかったけど、そもそも俚斗に心を構える必要があるのかって話だ。


「じゃあ、連絡先教えて」

「え?」

「知っといたほうが時間決めたりするの便利でしょ」

私は不器用な言葉を並べてポケットからスマホを出した。べつに深い意味なんてない。後々必要な時がきたときに困りたくないだけ。
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