降りやまない雪は、君の心に似てる。
ひとりきりになるとやっぱり家は静かで、外の車が通る音だけがやたらと響いて聞こえてくる。
……今日も俚斗は青い池にいると思う。
最近はいつもお昼過ぎに行ってたから、そろそろ私が来るかもって待ってるかもしれない。
でも俚斗と連絡をとる手段はない。
ほら、スマホの役目は防犯対策だけじゃなかった。こんな時どうやって俚斗に状況を伝えたらいいの?
こうしてすれ違ってしまえば、俚斗と私の関係なんてすぐに途切れてしまう。
「はあ……」とため息をつきながら俚斗と繋がることはないスマホを眺めていると、やたらと芸能ニュースが入ってきて、〝大晦日〟〝大掃除〟〝カウントダウン〟となにやら今年の終わりを連想させるものばかり……って!
画面の日付をよく見てるとそこには12月31日の文字。
そう、今年の終わりを連想させていたのではなく、正真正銘今日は大晦日で今年最後の日だった。
……やってしまった。
大晦日に熱を出すなんて最悪だ。
なんだか寝ているのがもったいなく思い私は布団から出る。リビングでは薪ストーブの暖かさが残っていた。
おばあちゃんは綺麗好きでいつも部屋は片づいているけど、よく見ると窓や台所の換気扇までピカピカで、きっと私が留守の間にひとりで大掃除をしてしまったのかもしれない。
……ああ、本当になにやってんの、私。
しかも冷蔵庫には今日の晩ごはんなのか豪華な霜降りのお肉が入っていて、そういえば昔は大晦日にすき焼きを食べるのが恒例だったっけ。
その他にも年越しそばも用意してあるし、熱を出して食欲がないなんて言ってる場合じゃなかった。