降りやまない雪は、君の心に似てる。


おせちやお雑煮を食べ終ったあと、私は後片づけを手伝った。するとおばあちゃんはエプロンを外して外着に着替えはじめた。


「小枝も一緒に初詣行く?」

「うーん……」

はっきりしない返事。行っても行かなくても、どっちでもいいというか、ただ単にお腹がいっぱいになって腰が重たくなっている。


「一年の挨拶は大事よ。そうすることで身が引き締まるし、新しい年の目標も生まれたりするしね」


たしかに今日行かなければ自分で出向くことはないだろうし、おばあちゃんにそう言われた以上、断ることもできずに、一緒に神社へ行くことになった。


外に出るとひんやりとした空気が肺を通りすぎていく。

おばあちゃんは近所の人たちに新年の挨拶をしながら歩いていて、私はやっぱり下ばかりを見てしまっていた。


『小枝がいつか堂々と前を向ける日が来るといいね』

本当にそんな日が来るのだろうか。こんな風にまた一年が過ぎてしまうだけかもしれない。

俚斗の言葉を思い出しつつ、そんなことを考えながら歩いていると、赤いふたつの鳥居が見えてきた。

そこに一礼してから進めば、次に荘厳(そうごん)な美瑛神社が姿を現す。境内の雪道はシャーベット状になっていて歩きづらかったけど、誰かが残してくれた足跡に合わせて前に進んだ。

元日だけあって、いつもは人気がないのに今日は活気で溢れている。

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