降りやまない雪は、君の心に似てる。
年初めの青い池は相変わらず凍っていたけど、なんだかやっぱり神聖なものに思えてスマホで一枚だけ写真を撮った。
「本当はね、小枝に嫌われたんじゃないかって思ってた」
俚斗が青い池を見つめながら、弱い声で言った。
「え?」
「だからもう来ないかもって、実はずっと不安だった」
そんな気持ちで昨日待たせていたんだと知ったら、さらに申し訳なくなった。でも同時に、俚斗にとって私はそんなに信用がない存在なのかなと、なんだかムカッとする。
「じゃあ、逆に俚斗は私に嫌われるようなことをしたの?」
私は自分でもひねくれ者だと自覚しているけれど、俚斗とは、嫌ったり嫌われたり、そんな感情を飛び越えた〝なにか〟が生まれていると感じていたのに……。
「うーん。だってさ、デートのとき舞い上がっちゃってたし」
「それで私が嫌うと思うの?」
「それだけじゃないよ。帰り際に女々しい感じで『もう少し一緒にいたい』なんて言ったりとか……」
「とか?」
とりあえず俚斗の気が済むまで言わせようと、私は続きを急かすように腕を組む。
「あと、小枝に触りたくなったこととか」
ドキッと心臓が跳ねた。病み上がりなのに、風邪がぶり返しそうな勢いだ。
「ちょっと思い当たることが多すぎて分かんない」
私の気持ちなんて知らずに俚斗は「あはは」と笑っていて、なんだか彼の言葉に一喜一憂してる自分がバカみたいだ。
「え、なんか怒ってる?」
「怒ってない……!」
私は俚斗にそっぽを向いた。これがわざと確信犯で言っているのなら、俚斗は相当いじわるかもしれない。