あたしはモデル。【完】
「渋滞でタクシーがうごかなかったんだって?」
「えっ?あ、うん。
すごい渋滞でね。
もう大変だったよ。」
いきなりの質問に、少し焦ったが、笑顔で答えた。
もしかしてバレて、ない?
「服、似合ってる。可愛い」
「そ…、そんなことないよ…」
なんで、そんな恥ずかしいことさらっと言えるの!?
バレたかバレてないかよりも、拓夢の言葉にドキドキしてしまう。
ちらっと拓夢の顔を見ると、少し顔が赤い。
それを見て私も、顔が赤くなるのがわかる。
もう、やだ。
最近私、変だよ。
胸が、苦しい。
「撮影、楽しかったな」
本当に楽しそうに笑みを浮かべる拓夢に私も笑みを浮かべた。
「そうだね…。
本当楽しかったね」
最初は嫌だったんだけどな。
でも本当に楽しかった。
監督も、スタッフも、沙織さんも、みんな優しかった。
もうみんなで集まる機会がないと思うと、少し寂しい。