あたしはモデル。【完】
「そんなに…
素敵な人なんですか?」
「あぁ。」
「…芸能人ですか?」
「ああ。この前撮影で共演したんだ。今日も打ち上げで会った。でも、本人を前にすると、いっつも何も言えなくなる。」
「っ、なんで…」
なんで、私なんか…
「さあ…なんでだろうな。
俺、好きな人には照れ屋なの。」
にやっと笑う拓夢に
「……っ、」
私は、唇を噛み締めた。
だめだ。
胸が苦しくて、息が出来ない。
叫びたい。
私は、峰山桜だって。
すがりつきたい。
今も過去に囚われている私を助けてって。
私に勇気があったら、言えたのかな。