あたしはモデル。【完】
「っ、すっげー風だったな。
台風来るんじゃねぇの…」
そう言う拓夢の髪の毛は、寝起き?と疑うくらいボサボサだった。
ファンの子が見たら、ショックを受けそうなくらい。
「た、拓夢様…じゃなくて、拓夢さん、髪の毛すごいボサボサになってますよ!あはは!」
「なっ!?
お前かってボサボサだろうが!」
そう言って、笑い合う。
その優しい笑顔に胸が高鳴る。
顔が熱くなるのがわかる。
気付いてしまった。
たぶん、気付かないフリをしていただけなんだ。
いつのまにか私は
拓夢を好きになっていたんだと。
何気ないこんな時間が、楽しくて、幸せで、胸が温かい。
だから、忘れてた。
「なんだこれ?
お前の方から飛んで来たけど…
お前のか?」
私は、幸せになんてなっちゃいけない。