あたしはモデル。【完】
サワサワ……
少し穏やかな風が吹く。
「なぁ、なんでお前がこれ持ってた?」
「……」
「答えて。」
言えない。
拓夢の顔が見れない。
きっと、怒った。
嫌われてしまう。
だって私は嘘つきだから。
もう、バレてしまうだろう。
すべてが、壊れてしまう。
最後の悪あがきに、カーティガンのポケットに手を突っ込んでみたけど、やはりメモはなくて。
今、拓夢の手の中にあるメモは間違いなく私のものだと確信した。