あたしはモデル。【完】
きっと、さっきの強い風で飛ばされたんだ…
「…聞いてる?
なんでお前が持ってた?」
「ご、ごめ…なさ…」
どうしよう
どうしよう
もう誤魔化すなんてもう無理だ。
拓夢はわかったのだろう。
山本桜と、峰山桜が同一人物だと。
なのに、なんで答えを聞くの?
騙したのかって、罵る?
私のことなんて、大嫌いになるよね。
そしてバレてしまったからには、モデルが続けられない。
だめなんだ、それだけは。
一年前のあの日にすべてを失った私は、モデルをしていないと…
もう、生きていけないの。
頭が混乱してきた私は、とにかく拓夢から離れたくて、鞄を掴み屋上を出ようと立ち上がり出口に向かった。
グイッ
けど、腕を強く引かれた。
「また逃げんのか!?」