あたしはモデル。【完】
――けど、
『……っ!!』
『はぁ、はぁ…』
荒い息をした顔をフードで覆った男が私の腕をがっしりと掴んだ。
相手の口元がにやり、と歪むのが見えた。
気持ち悪い!
『や…!いや!!
助け…っ…離して!誰かぁ!!』
ちょうど家のすぐ近くだった。
辺りは夜遅いためか、いつもは人通りの多い道なのに、シンとしていて誰もいない。
恐怖で恐怖で。出ない声を必死に振り絞って。
『お兄ちゃん!お兄ちゃん…!!
助けてっ!お兄ちゃん!!!』
すると家の中から物音が聞こえた。そして慌ただしくドアが開く。
『桜!?
っお、前…!!
桜に何やってんだよ!!』