あたしはモデル。【完】
しばらく固まっていた拓夢は急に顔を上げ、目を見開いていた。
「え?マジで?え?」
「私、拓夢が好きなの」
拓夢の頬に、一筋、涙がつたった。
「すげ、嬉しい。
信じらんねぇ…」
涙声で拓夢は私さらに強く抱き締めた。
私も強く抱き締め返す。
胸の中がポカポカとして、温かい。
少しくすぐったいような、体の奥から、込み上げてくる喜び。
私、幸せになるよ。
自分のために。
モデル、続けるよ。
自分のために。
お兄ちゃんが命をかけて救ってくれた、私のために。