あたしはモデル。【完】
拓夢の顔をしっかり見つめて、言うんだ。
前に進め。
幸せに、なろう。
「…こちらこそ、お願いします。私と、付き合ってください。」
笑顔の拓夢を見て、ああ、幸せだな、って思った。
お兄ちゃんとの思い出は、あの日からすべて暗い、悲しい記憶になってしまっていた。
でも、今。
お兄ちゃんを思い出すと浮かぶのは、お兄ちゃんの優しい顔と、楽しい記憶。
――過去にとらわれた私を救ってくれたのは、最初は大嫌いなはずの貴方だった。