あたしはモデル。【完】

あたしはモデル。



ねぇ拓夢。




私達が出逢ったのは偶然だったのかな。



私ね、もしかしてお兄ちゃんが私たちをめぐり合わせてくれたんじゃないのかな、と思うんだ。



 



学校での拓夢しか知らなかった私は、拓夢が苦手だった。

いつも、冷たい目をしてたから。




だからあの日、私がミネラルウォーターのCMの撮影で、初めて俳優としての拓夢と出会ったとき、すごく気まずくて。


けど、拓夢は優しい笑顔で私を見つめていた。


そしてそれが、本当の拓夢だと知った。





もし私がモデルをしていなかったら。



私が拓夢と同じ学校に通っていなかったら。



カーディガンを屋上に忘れていなかったら。



勇気を出して、前に進めていなかったら。





今の私は、いない。




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