あたしはモデル。【完】
夕方の海が眩しくきらめいている。
「あ!」
触れる、指と指。
拓夢と目を合わせる。
「トンネル、できた!」
この年にもなってトンネルを作って喜ぶなんてどうかと思うけど、とても嬉しくなった。
きっと、拓夢と一緒に作ったからだ。
「…桜、」
「ん?」
「手出して」
そういえば、いいものくれるって言ってたっけ?
でも。
「私、手、砂でどろどろなんだけど」
「俺もどろどろだから」
そして拓夢は、私の手をそっと掴む。