あたしはモデル。【完】
「え…っと。
それはちょっと…」
ごめんなさい。
呼びたくない。
「はい、撮影始めまーす!!
とりあえず、自然な感じでミネラルウォーターを持って、歩いてもらえる?」
断ろうとしたのにヒロトの声が私の言葉を書き消す。
「あ、はい!
桜、撮影よろしくな。」
拓夢の顔が赤かったような気がしたけどきっと照明のせいだ。
照明、暑いしね。
というか、断るタイミングを完全に逃した私。
どうやら私は木原拓夢を呼び捨てで呼ばなければいけないらしい。
「……はぁ」
バレないように小さく、ため息をついた。