あたしはモデル。【完】
走ったからか、暑いな…上着脱ご…
チン
持っていた上着を鞄に入れたとき、丁度エレベーターが到着した。
さすがにもう拓夢は追いかけてなんかいないよね。
そう考えながらロビーに足を踏み入れた瞬間、バタバタと大きな足音が階段の方から聞こえた。
な、なに…!?
思わずそこを凝視する私。
そしてすぐに、階段から一人の男性が息を切らしながら出てきた。
思わず目を見開く。
階段で降りてきたの!?
「……拓夢…」
小さな声で呟いた。
そして、こちらに近づいてきた拓夢と目が合う。
――しかし
拓夢は、すぐに目をそらし私の前をそのまま通り過ぎて行き、エレベーターの前に立った。