あたしはモデル。【完】
すると、ずっと無表情だった拓夢の顔が、ほんの少しだけ和らいだ気がした。
「お前、桜っていうの…?」
「え?はい…
それじゃ…失礼します」
早くその場を立ち去りたくて適当に会話を返した。
表情が和らいだとはいえ…
目が、怖かった。
直感でこの目は朝、“峰山 桜”に向けられていた目ではないと気づいた。
私はとにかく、その場を立ち去りたかったんだ。
さっき私といたときは、優しい目をしてたのに。
やめてよ。
そんな目で、私を見ないで……!