あたしはモデル。【完】
バタンッ
「う…ふぇ……」
私は近くの部屋に駆け込む。
幸い、誰もいなかった。
力が抜けて、ずるずると壁を背にしゃがみこむ。
「私は…私なんか…っ……最低な女なんだよ……」
ぼろぼろと、涙腺が崩壊したかのように涙がこぼれ落ちていく。
涙なんてあの時枯れたと思ったのに……
「…っ、う…」
床には涙の滴が次々と落ちていく。
拓夢、拓夢、拓夢。
伸ばされた手を取りたかった。
でも、取れなかった。
抱き締めて欲しかった。
でも、怖かった。
私には、言えない嘘があるから。
逃げたんだ、私は。