あたしはモデル。【完】
「えっ?」
バレて、ない…?
それよりも拓夢が女子生徒に話しかけた事に驚いた。
そんな場面見たこと無いし、しかも私なんかに話しかけるなんて思ってもみなかった。
なんで声、掛けるのよ…
「そうですけど…」
いつもより低めの声を出す。
念のため、バレないように。
「今から学校?」
この坂のぼってるんだから学校に決まってるでしょ?
…なんて言えるわけもなく。
「はい…」
「あっそ」
私の答えに、拓夢は興味無さそうに言い捨てた。
やっぱり、拓夢は私が峰山桜だと気付かない。
ていうかこの拓夢と芸能人の拓夢は別人じゃないの!?ってくらい人が違う。
ぐっと手を握り締めた。
――グシャ
あ。拓夢からのメモ、手に握ったままだった…
拓夢は既に私を抜かしていて、だいぶ先を歩いている。
なんで、話しかけたの?
…あなたが連絡を待ってる人は、ここにいるのにね。
拓夢に連絡は、しない。
メモをカーディガンのポケットに入れて、私は学校の門をくぐった。