あたしはモデル。【完】


「えっ?」



バレて、ない…?


それよりも拓夢が女子生徒に話しかけた事に驚いた。

そんな場面見たこと無いし、しかも私なんかに話しかけるなんて思ってもみなかった。



なんで声、掛けるのよ…



「そうですけど…」

いつもより低めの声を出す。
念のため、バレないように。



「今から学校?」


この坂のぼってるんだから学校に決まってるでしょ?

…なんて言えるわけもなく。



「はい…」


「あっそ」

私の答えに、拓夢は興味無さそうに言い捨てた。




やっぱり、拓夢は私が峰山桜だと気付かない。

ていうかこの拓夢と芸能人の拓夢は別人じゃないの!?ってくらい人が違う。




ぐっと手を握り締めた。


――グシャ


あ。拓夢からのメモ、手に握ったままだった…



拓夢は既に私を抜かしていて、だいぶ先を歩いている。



なんで、話しかけたの?





…あなたが連絡を待ってる人は、ここにいるのにね。





拓夢に連絡は、しない。



メモをカーディガンのポケットに入れて、私は学校の門をくぐった。




< 84 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop