あたしはモデル。【完】
何も言えない私に、拓夢は言葉を続ける。
「ここの鍵、お前も持ってんの?」
ああ、どうしよう!
さすがに前みたいに聞こえないフリは出来ないし…
「えっ、と……。
せ、先輩!
ここの卒業生にもらったんです!」
もちろん嘘だ。
理事長の親戚だとバレると、本名がバレる可能性があるから。
「…卒業生に?」
「はい…」
出来るだけ笑顔を作り、怪訝そうな拓夢から目をそらした。
バレることだけは、絶対に避けなければならないから。
1年前の自分との、約束を守るためにも…。