君との世界に
「久しぶり、夏菜…!」
「……うん、久しぶり」

精一杯笑ったつもりだけれど、ぎこちなかったかな。

「夏菜はどこの席?てかどこのコース?」

此処は高専だから、色々なコースが有る。
例えばイラスト、ダンス、ミュージック、声優…などなど。
結構コースあったはず。
8個位あったかな…?

「あ…前から5列目。コースはイラスト」
「そっか」
「…塁は?」
「前から…1、2、3……15列目、かな?ダンスコース選んだ」
「そっか……」

………気まずい。
話が続かない。
昔のままだったら、話は尽きないくらいだったのに。
…仕方ないのかな。これが普通なのかな…

「あ、そうだ。夏菜、番号教えて」
「え…?」
「電話番号。ダメ?」
「…ダメじゃ、ない」

そう呟けば「やった♪」と笑う、塁。
うちの電話番号とメルアドを塁に伝えれば、塁は早速うちの携帯を鳴らす。
その番号を登録し、さらに塁から送られてきたメールの番号も登録する。

「…夏菜、俺早速この学校にして良かったって思ってる」
「…?」
「夏菜に、また逢えた。これからはもっと逢えるし♪」
「っ…」
「あ、もうそろそろ時間か…んじゃ、俺席行くわ。…また」
「う、うん……。また」

何だか名残惜しくも有るけれど、その場は分かれた。

式が終わってからは、逢えなかったけれど。


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