約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)


「目を背けようとしなかったとかそう言うのじゃなくて、
 ただ必死だっただけです。
 目を背けようしなかったじゃなくて、目を背けることが出来なかったんです。
 ただ必死に、現実を受け止め続けるのに必死でした。

 月の世界って言うのもおかしいんだけど、
 私や瑠花、舞が暮らしていた時代の日本は、犯罪とかは確かに減ってはないけど、
 戦争はしてないんですよ。自分の国では。

 だから刀や銃を勝手に許可なく所持してたら、銃刀法違反って言う罪にとわれちゃうそんな時代。

 自分の国では平和だけど、広い世界に目を向けてしまったら戦争はたえなくて、
 砲弾よりもっと威力の強い戦道具で戦争してる。

 でも自分たちが住んでいる世界は平和だから、そんな『戦争』って言う危機感はないの。
 だから私たち、凄くぬるい世界で生きながら、必死に生きてたふりをしてたんだなーって。

 だから、この世界に来てたから、私は本当の意味で『生きる』って言うことを教えて貰ってる」



そう……辛いことが多かったけど、
その辛さを一歩ずつ乗り越えられた時、生きている満足感が私にはあった。


あのまま現実の向こうの世界に居たら、私は流されるように毎日の日常を繰り返して、
退屈な毎日を文句言いながら、必死に生きているフリをしていただけにも感じられるから。




「そうか……山波は強いな。
 そう言う芯の強さってのは、山南さん譲りなのかも知んねぇな。

 俺たちのこの先の未来はどうなる?」


ふと小さく、空を見上げながら紡がれた言葉。
私もゆっくりと空を見上げる。

そんな私と土方さんの間を風が駆け抜けていく。
風にたなびく髪。


「この先の未来……」

何を話していいのかわからないまま、
思い浮かぶ記憶を脳内でまとめながら、
話し始めた私の言葉を「いやっ、いい」っと
再びたった土方さんの声。


「俺としたことが何を弱気になってたんだろうな。
 忘れてくれ。

 それで、山波、お前はどうしたいんだ?
 俺と来るのか?加賀と共に行動するのか?」


真剣に私に視線を向けて問い直す土方さん。


私はその視線を真っすぐにとらえて、「一緒に連れて行ってください」
っと言い切った。

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