約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)


「わかったよ……。
 俺たちは、こうやってまたお前たちを戦に巻き込み続けるんだなー」

そうやって吐き出された土方さんの言葉。
罪悪感なんて抱く必要なんてないのに。

今は私が勝手に居たいだけなんだ。

山南さんが旅立って、丞が消えて……、
心がどうしようもなく寂しくなった時も、
土方さんは私を見守ってくれていた。

その不器用な優しさを知っているから。
だから私も精一杯の恩返しをしたい。

ただそれだけなんだから……。



「なら支度をしてこい。
 準備が出来次第、すぐにでも出発する」

「はい」




私は土方さんに一礼をして、桶を手にして救護所の方へと水を運ぶと、
その足で与えられている部屋へと移動する。

旅支度を手早く済ませると、舞宛に置手紙を残す。





舞へ

私、土方さんと箱館まで行くね。
舞は多分、会津で斎藤さんたちを見守りたいと思うから。

ここからは別行動。

でも私……箱館で舞を待ってるから。


また会おうね。
二人でちゃんと向こうの世界へ帰るんだからね


花桜






何時までだっても書きなれない筆と格闘しながら、
手紙を書き終えると、懐かしい向こうの世界の便箋の折りたたみ方で、
舞への手紙を支度すると、舞の荷物の傍へとそっと置いた。



行ってきます。



心の中、そう言って私は静かに部屋を後にした。
外へ向かう途中、舞が斎藤さんと親しげに話しているのが視界にとまる。


舞、元気になって。
斎藤さん、舞を宜しくね。


そんなことを考えて祈りながら、私は土方さんたちが待つ場所へと向かった。

< 191 / 246 >

この作品をシェア

pagetop