約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)
「わかったよ……。
俺たちは、こうやってまたお前たちを戦に巻き込み続けるんだなー」
そうやって吐き出された土方さんの言葉。
罪悪感なんて抱く必要なんてないのに。
今は私が勝手に居たいだけなんだ。
山南さんが旅立って、丞が消えて……、
心がどうしようもなく寂しくなった時も、
土方さんは私を見守ってくれていた。
その不器用な優しさを知っているから。
だから私も精一杯の恩返しをしたい。
ただそれだけなんだから……。
「なら支度をしてこい。
準備が出来次第、すぐにでも出発する」
「はい」
私は土方さんに一礼をして、桶を手にして救護所の方へと水を運ぶと、
その足で与えられている部屋へと移動する。
旅支度を手早く済ませると、舞宛に置手紙を残す。
★
舞へ
私、土方さんと箱館まで行くね。
舞は多分、会津で斎藤さんたちを見守りたいと思うから。
ここからは別行動。
でも私……箱館で舞を待ってるから。
また会おうね。
二人でちゃんと向こうの世界へ帰るんだからね
花桜
★
何時までだっても書きなれない筆と格闘しながら、
手紙を書き終えると、懐かしい向こうの世界の便箋の折りたたみ方で、
舞への手紙を支度すると、舞の荷物の傍へとそっと置いた。
行ってきます。
心の中、そう言って私は静かに部屋を後にした。
外へ向かう途中、舞が斎藤さんと親しげに話しているのが視界にとまる。
舞、元気になって。
斎藤さん、舞を宜しくね。
そんなことを考えて祈りながら、私は土方さんたちが待つ場所へと向かった。