約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)
「有難う……。
心配してくれて。
でもね……大丈夫だよ。
私は知ってる。
この大空(そら)が
遠い未来へ繋がっていることを知ってるから」
そう告げて、
私はゆっくりと空を見上げた。
翌日、新政府軍は降伏した。
斎藤さんは前日のうちにその姿を消し、
斎藤さんがこの場所に現れていたことを知る存在は数少ない。
その歴史も、長い時間の中で淘汰されていくのかもしれない。
「ねっ、行こうか。
敬里」
心の中に住む敬里に話しかけながら、
私は新選組と共に過ごしていた加賀舞ではなく、
高杉晋作の縁者としての舞。
ただの舞として、
その命が尽きる時まで……、
晋兄が泣き虫舞の私を迎えに来てくれるその時まで、
今の私にしか視ることのない世界を見つめ続ける。
何時か見た約束の大空が、
この世界の先に広がっていることを描きながら。
有難う、
遠い未来に住む大切な親友(とも)。