約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)
そう……嘘じゃないから。
振り絞るように立ち上がって私はクローゼットから服を取り出して制服から着替えると、
いつもは念入りにするメイク時間も惜しむように部屋を飛び出した。
「ママ、ごめんなさい。
朝ご飯、食べる時間なくなった。
今日、花桜と約束してるの忘れてた」
キッチンのドアを開けて、中で洗い物をしてるママに声をかける。
「あらあら。
でも瑠花ちゃん、せめてスムージーだけは飲んでいきなさい。
ママ特製の美容と健康ドリンクよ」
そう言って差し出されたコップを私は受け取ると、
一気に飲み干して、ママにコップを返した。
「ごちそうさま。
準備して出掛けてきます」
「気を付けてね」
ダイニングから自分の部屋へと移動して、
着替えを済ませると私は財布と携帯を鞄に詰め込んで、
花桜の家へと移動する。
携帯が映し出すカレンダーは、
全国大会の翌日でしかない。
そして携帯で調べている限り、
新選組の歴史も変わった様子はなかった。
勿論、歴史上私たち三人が新選組の屯所にいた形跡なんてどこにもない。
あれは、本当に夢だったの?
何もかもが変わっていなくて、
ずっと生き続けてきた幕末での生活が嘘のように、
実感が薄くなっていく感覚が私を包み込んでいく。