約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)
ねぇ、総司。
貴方は今、どんな夢を見ているの?
その夢の中も、決して楽しい時間ではないのかもしれない。
「魘されておるな」
そう言うとお祖父さまは、逆サイドに立って、総司の顔を優しく手のひらで撫でる。
「敬里、今はゆっくりと休め」
何度も何度も、暗示をかけるように頬に触れながら声をかけ続けた。
今の総司には、幕末で何が起きているかなんて知らない。
井上さんが壮絶な死を遂げたことも今はまだ知らない。
総司に伝えるか、否か。
私の中で大きく湧き上がってくる問題。
総司、ごめん。
私は総司に生きて欲しい。
私の我儘だって知ってる。
その事実を遅れて知らされた総司が、ショックを受けることも知ってる。
だけど今は……話さない。