約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)
82.大坂 最後の戦い 後編 -花桜-
戦い始めて四日目。
前夜に届いた将軍からのお言葉に陣地には活気が戻っていた。
どれだけ必死に手当てをしても、負傷者は減ることがない。
戦うたびに銃弾を身に受けて、救護室に担ぎ込まれてくる。
何とか一命をとりとめたもの助けることが出来なかった命。
戦争と言うものの愚かさを強く実感せずにはいられなかった。
「花桜ちゃん、いつも手伝ってくれてありがとうな。
先生らも助かってるって喜んでたわ」
そう言って、突然姿を現すのは丞。
「丞……帰ってきてたんだ」
「まぁ、またすぐに出掛けるけどな。
副長に報告に」
「そっか……。
無茶しないで……」
取り留めのない話をして、笑って送り出そうって思ったのに
何故か涙が溢れ出して、私は顔を俯か【うつむか】せる。
そんな私の頬に両手を添えて、ゆっくりと私の顔を持ち上げると次の瞬間、
丞の唇が私の唇に触れた。
抱かれるような形で烝に包まれて過ごした僅かな時間。
「さてっと、わいの充電も完了や。
何、鳩が豆鉄砲くらったような顔してんねん。
花桜ちゃんは笑ってる方がえぇ。
わいは、そんな花桜ちゃんの笑顔に惚れてもたんやなー。
あの日、わいの頭上に降ってきた時から」
丞は出会いの時間を思い出しながら、クスクスっと笑ってた。
そう……。
あの日、私はお仕事中の丞の頭上に降り注いで邪魔をして助けてもらった。
あの日から丞は、私をずっと支えてくれた。
丞が気にかけてくれたから、はぐれてしまった瑠花とも舞とも再会することが出来た。
居場所のなかったこの世界に、居場所を作ってくれた。