約束の大空 3 ※ 約束の大空1&2の続編。第四幕~(本編全話 完結)

「山崎っ!!
 
 斎藤、永倉、手を貸せ」



そう言うと土方さんたちの手によって、
山崎さんの体が私から引き離されていく。


「花桜、大丈夫?」

そう言って、私を確認するように体に触れていく舞。
そして舞はゆっくりと手を伸ばす。

舞の手を取ってゆっくりと立ち合がると、
立ち眩みがして、舞に体を支えられた。

暫くじっとしたまま、再び、ゆっくりと目を開けると、
信じられない光景が目に入ってきた。


丞が負傷してる。
斎藤さんたちが、すぐに手当てをしているものの、なかなか血が止まらない。



「烝……」

「……花桜ちゃん、無事やったな。
 わいは、約束は守る漢【おとこ】やで」

「バカっ」


涙が溢れ出して制御できなくなった私は、
そんな言葉しか丞に返せなかった。

その後、丞は意識を失った。



負傷者たちを連れて、本陣へ戻った私たちは、
そのまま大坂城へと移動した。




だけど最終の砦になるはずの、その場所に、
この戦の首謀者の一人でもある、将軍の姿はなかった。



総大将が逃亡した旧幕府軍に、勝機はあるはずもなく、
各藩、散り散りになっていった。



「花桜、舞、無事だったか?」


大坂城に入って再会したのは、あの日、別れた敬里。


「敬里っ。
 幕府は、徳川はどうなってるの?」

「深夜遅く会津公を連れて、
 そこにいる榎本さんの開陽丸を乗っ取って江戸へと帰ったよ。

 近藤さんと一緒に、俺たちは、富士山丸で帰る準備をして待ってたんだ」

「近藤さんは?」

「近藤さんは奥で体を休めてるよ。
 これから移動がある。長旅だからさ」



そう言った敬里は、なんだか凄くたくましく思えた。



早急に準備を整えた私たちは榎本武揚さんの力を借りて、
負傷した兵士たちを連れて、大坂を後にした。


 
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