ひとり、夏色
「いや、やばいわ」
ひとりで頷きながら
私は千早の前に
腰をおろした。
「え?何で?」
「何が」
「何で芸能界やめたの?」
「体調の悪化」
ぶっきらぼうに
彼が言う。
「それだけ?」
「それだけじゃ
不満なわけ?」
「いえ、別に」
それにしても
こいつ、私に対して
嫌に挑戦的というか
なんか、初対面
だけど、あれ、
嫌われてんの?私
「ねえ」
「何」
私とは目もあわせずに
彼は答える。
「いつまでここに
いる予定なの?」
「さあ」
「学校は、どうすんの」
「別に、どうでもいい」
「よくなくない?
だって君、高校生でしょ?」