ひとり、夏色
「はい。ありがとう
ございます。
いただきます」
眩しいほどの笑顔
で千早はこたえた。
この、二重人格者め。
「このからあげ
とってもおいしいです。
作り方になんか
コツとかあるんですか」
母さんが答える前に
ほんのいじわるの
つもりで私は言った。
「それ、カエルの肉なの」
「え」
途端に千早の顔が
青ざめた。
「まあ、嘘なんだけど」
「こら、夏緒!
変なこと言わないの」
「びっくりした?」
私が聞くと、奴は
アイドルスマイル
のまま言った。
「びっくりしました
夏緒さんは、冗談
がお上手ですね」
「ありがとう」
私も笑ってこたえた。
頼むから、
くたばってくんねー
かな、こいつ。