ひとり、夏色
「いや、そんな話きいてないし」
「君がきいてなくても
ご両親は知ってるだろう。
あがらせてくれ。
ご挨拶する」
「いいいやいやいや!!」
強引にうちに上がろうと
する謎の男、千早の前に
私は手をおおきく広げ
立ちふさがった。
「無理!今、親いないし!」
「じゃあ帰ってくるまで
中で待たせてもらう」
「いや、無理だし!!普通
知らない人を家にあげる
わけないだろ!!」
「だから、君が知らなくても
ご両親は知ってるはずだから」
「そういう新手の強盗?!」
「そんなわけないだろ」
しばらくそこで押し問答が
続いていると母さんが
帰ってきた。母さんの
姿をみつけて、私は叫んだ。
「母さん!!新手の
セールスマン!!
なんか家にあがりこもうと
しています!!」