私の上司はご近所さん
その日の正午。いつものように社員食堂で結衣と昼食を取る。
「結衣、金曜日は本当にゴメンね」
「ううん。私こそあんなサイテーな合コンに百花を無理やり誘って反省してる。本当にゴメン」
お互いに謝ってばかりいる自分たちがおかしくて、顔を見合わせると小さく笑った。
合コンの翌日の土曜日。逃げるように帰ってしまったことを結衣にラインで謝ると、すぐに既読がつき返事がきた。
私が帰った後、あの芳川さんにしつこく誘われたこと、お目当ての商社マンの彼は仕事の自慢話ばかりする残念な人だったことを愚痴られた。
そして私は合コンの帰りに変質者の被害に遭ってしまったことと、部長に助けてもらったことを結衣に伝えた。もちろん翔ちゃんに説明したときと同じように、部長に抱きついた事実は伏せた。
「ねえ、百花。イベントが終わったらパァ~と飲みに行かない?」
気合い十分で臨んだ合コンなのに、残念な結果になってしまった。結衣はその憂さを晴らしたいみたいだし、私も合コンよりも結衣とふたりで飲む方が気楽だ。
「うん。いいよ。いつにしようか?」
スケジュールはスマホのアプリで管理している。バッグからスマホを取り出すと、着信履歴が表示されていた。どうやら仕事中に連絡があったらしい。登録のない番号からの着信を怪訝に思いつつ、録音されたメッセージに耳を傾ける。