私の上司はご近所さん
Story・9
書庫でイチャイチャ?
イベント中心で回っていた業務もようやく落ち着きを取り戻してきた、六月中旬の水曜日の午後。データ化しない書類を整理するために、オフィス奥のキャビネットに向かう。
今まで忙しくてファイリングを後回しにしてきた。でもイベントの報告書はすでに提出済みだし、今のところ急ぎの仕事もない。
よし、今日中に片づけちゃおう!と気合いを入れると、ワークテーブルでファイリング作業に取りかかった。
キャビネットに入っている書類を取り出すと、種類別に分ける。一見すると簡単なようだけれど、ナンバーと日づけを確認しながら行うファイリング作業は、意外と手間がかかった。
「これでよしっと」
作業が終わったのは、午後五時三十分。ファイリングした書類を保管するのは八階の書庫だ。
急げば定時の午後六時には終わるだろう。
台車に書類を積むと「書庫に行ってきます」と声をあげる。視線をチラリと部長に向けると、真剣な表情でパソコンの画面を見つめていた。
イベント前は毎日のように残業していた。でもここ三週間は広報部の業務も落ち着き、私を含めてほとんどのメンバーが定時の午後六時で帰っている。
一方の部長はというと、出張や会議などで席を外していることが多く、どうやら定時には上がれていないようだ。