私の上司はご近所さん

「藤岡くんとは、研修とか同期会で何度か顔を合わせたけれど、あのルックスだからすごくモテていたわ」

「そうですか」

主任と部長は同期入社。異動してきた部長が主任に「中原、久しぶりだな」と話しかけていたのを見た。

「まさか同期の彼が上司になるなんてね」

「……」

小さくため息をついた主任が下唇を軽く噛んだ。

前部長の異動内示が出たとき、次期部長は主任ではないかと噂になった。けれど新たに広報部長となったのは、同期の彼。主任に出世願望があるのかどうか私は知らない。けれど下唇を噛んだ主任の姿を見たら、きっと昇進したかったのだろうなと思った。

「藤岡くん、相変わらずすごい人気ね」

「えっ?」

すぐに笑顔になった主任の視線の先を追ってみると、女子社員に囲まれた部長の姿があった。

部長が広報部に異動してきてからというものの、仕事中にもかかわらず女子社員たちが彼のことをチラチラと見ていることには気がついていた。きっと彼女たちはこの歓送迎会で部長との距離を縮めたいと思っているのだろう。

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