私の上司はご近所さん

主任の爆弾発言に驚いたのは私だけじゃない。部長を取り巻いていた女子社員の口から「え~! 部長って彼女いるの?」「嘘でしょっ!」「ショック!」などといった言葉が次々に飛び出す。

「静かに! そういうわけで藤岡くんには彼女がいます。だからあなたたち、藤岡くんのことはあきらめなさい。いいわね?」

一瞬にして騒がしくなったこの場を、主任があっという間に収めた。

「ほら、散った、散った」

主任が手をひらひらと振ると、部長を取り巻いていた女子社員たちが散り散りになった。

やっぱり部長には彼女がいた。広報部の女子社員たちが見惚れるほどかっこいい部長に、彼女がいないわけがない。

納得しながら自席に戻ると、食べかけだった料理を口に運んだ。すると後輩の佐藤さんが私の隣に腰を下ろした。

「園田さん。部長に彼女がいたなんてショックですぅ~」

佐藤さんは私の肩に頭をのせると、甘えるようにもたれかかってくる。

「ショックって、佐藤さんは部長のことが好きなの?」

「はい。そうですよ。だって部長、独身だしかっこいいじゃないですかぁ」

部長が異動してきてからまだ数日しか経っていない。人柄もよく把握できていないはずなのに、部長を好きだとあっさりと認めた佐藤さんに動転してしまった。

< 15 / 200 >

この作品をシェア

pagetop