私の上司はご近所さん
Story・11
まさかの告白
とうとう迎えた夏季休暇初日。今日は夏祭りの手伝いで忙しい一日になりそうだ。それなのに目が覚めても頭が鈍く痛んで、ベッドから起き上がることができなかった。
昨日の夜……。
* * *
家に帰ると買ってきた浴衣を母親とおばあちゃんに見せた。母親は「ずいぶん地味な浴衣を選んだわね」と言って、渋い表情を浮かべる。
私が浴衣を新たに購入したのは、いつもと違う私を部長に見てもらいたかったから。でも私がどんなに着飾っても、部長の彼女には勝てない。
「明日、浴衣着ないから」
トゲのある母親の言葉には腹が立ったけれど、もうその浴衣を着るつもりはないからどうでもいい。投げやりな言葉を口にする。
「あら、どうして? 折角新調したのに、もったいないじゃない。それにおばあちゃんは百花ちゃんが選んだ浴衣、とても素敵だと思うわよ」
おばあちゃんの瞳が悲しげに揺れている。もしかしたらおばあちゃんは、孫である私の浴衣姿を楽しみにしているのかもしれない。
「おばあちゃん。ごめんね」
それでも部長を思って選んだ浴衣を着るのは、やはりつらい。おばあちゃんの期待に応えられないことを申し訳なく思いながら、階段を駆け上がると自分の部屋にこもった。
* * *