私の上司はご近所さん
「こ、告白はしたの?」
「いいえ。告白はまだです。今日の歓送迎会で仲良くなって、お持ち帰りしてもらおうと思ったんですけどね。その前に玉砕です」
「そ、そっか」
クルリと上を向いたまつげと潤んだ瞳、キャラメル色の艶やかな巻き髪にふわりと揺れる花柄のフレアスカート。小柄で女子力が高い佐藤さんが、まさかの肉食女子だったとはビックリだ。
「園田さん。今日はトコトン飲みましょう! 飲んで嫌なことを忘れましょう!」
「う、うん」
佐藤さんは体を起こすと「すみません! 芋焼酎のロックをふたつ!」と大きな声でオーダーした。
かわいらしい佐藤さんには甘いカクテルがよく似合う。それなのに、いきなり芋焼酎を、しかもロックでオーダーするなんて嘘でしょ?
年下の佐藤さんに終始圧倒されていると、すぐに芋焼酎が運ばれてきた。
「園田さん! かんぱ~い!」
「か、乾杯」
カチンとグラスを合わせる。
今さらだけど私はそれほどお酒に強くないし、芋焼酎は一度も飲んだことがない。恐々とグラスに口をつけると、独特な風味が口いっぱいに広がった。