私の上司はご近所さん
「な、なにするんですかっ!」
突然キスするなんて非常識だ。怒りに任せて声を荒らげたけれど、部長は平然としたままだ。
「素直に飲まないからだ」
まるで私が悪いようなことを言う部長が憎らしい。
「私、初めてなのに!」
ふてくされながら私のファーストキスを奪った部長に抗議した。
キスは甘くてふわっとして、とろけるようなものだと思っていた。でも実際はちっともロマンティックじゃなかった……。
理想と現実のギャップに戸惑い涙がジワリと込み上げてくる中、さらに信じられない部長の言葉が耳に届いた。
「笑わせるな。こんなのキスとは言わない。俺が本当のキスを教えてやる」
とんでもないことを言い出した部長に抵抗する間もなく、再び唇を塞がれてしまった。
けれど、あまりにも突然すぎるキスに驚いたのは始めだけ。温かくて柔らかい部長の唇が心地よくて、自らゆっくりとまぶたを閉じた。
部長の大きな手が頬に添えられる中、軽く触れるだけだったくちづけが徐々に深みを増していき、ふたつの唇が隙間なく重なり合う。
スポーツドリンクを強引に口移しされたときとはまったく違う甘いキスに、体の力が徐々に抜けていった。