私の上司はご近所さん
これは夢?
そう思ってしまうのは、私は美人でもないし、スタイルが特別にいいわけでもないから。イケメンで大人な部長が、どうして私を好きになってくれたのかがわからない。
「部長は……私のどこを気に入ってくれたんですか?」
質問を質問で返すと、部長が背筋を伸ばした。
「尻もちをついたり、芋焼酎を飲んで酔っ払ったり、外人にナンパされたり……。初めは、なんか危なっかしい子だなと思った」
忘れかけていた出来事が頭に浮かび上がると同時に、部長に迷惑ばかりかけてしまった自分を情けなく思った。頭を下げて「すみません」と謝ると、部長がクスッと笑う。
「でも、しばらくすると園田さんのことが心配で心配で仕方なくなって、いつの間にか園田さんを気にしている自分がいたんだ」
「……っ!」
部長は上司でご近所さん。ただそれだけの関係と思っていたのに……。
初めて聞く部長の甘い本音が恥ずかしい。なんと返事をすればいいのか思い悩んでいると、部長がポツリとつぶやいた。
「面と向かって言うのは恥ずかしいな」
部長が大きな手で口もとを隠す。耳をほのかに赤く染めて照れた様子を見せる部長の姿は新鮮で、かわいらしいと感じた。