私の上司はご近所さん

思わずフフフッと笑みをもらすと、部長がジロリと私を見つめる。

「ずいぶん余裕があるな?」

「えっ?」

「今度こそ園田さんの気持ちを聞かせてもらおうか?」

口角を上げた部長がにじり寄ってくる。

彼女がいる人に告白しても困らせてしまうだけ。だから自分の気持ちを部長に伝えることは一生ないと覚悟していた。しかしもう、この恋心を隠す必要はない。

「好きです。部長のこと、ずっと前から好きでした」

目の前に迫った部長との近すぎる距離を恥ずかしいと思いつつ、視線を逸らさずに自分の思いを打ち明けた。すると、部長の口から思いがけない言葉が飛び出る。

「矢野くんよりも?」

「えっ?」

「矢野くんのこと、好きだったんだろ?」

どうしてこの場で、翔ちゃんの名前が出てくるのかわからない。部長の顔をキョトンと見つめると、さっきと同じように耳がほんのりと赤くなっていることに気づいた。

もしかして、これってヤキモチ?

部長の意外な独占欲をうれしく感じながら、もう一度自分の素直な思いを告げる。

「それは昔のことです。今は部長のことだけが好きです」

「ありがとう。うれしいよ」

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