私の上司はご近所さん
部長の手が顎に添えられ、その手に力がこもる。あっという間に顔が上向きになったその瞬間、再び唇を塞がれた。軽く触れては離れ、そしてまたすぐ重なる部長の唇に翻弄されていると、次第に意識が薄れていくのを感じた。しかし不意に部長の唇が離れて我に返る。
「すまない。倒れたばかりだというのに……」
部長は瞳を伏せると、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
部長のキスはとろけるように甘いから、つい欲張りになってしまう。もっとキスしたいと思っても、私の体調を気遣ってくれる部長にこんな恥ずかしい本音を言うことはできない。
「い、いいえ」
首を左右に振る私の両肩に部長の手がのる。そしてその手に力が入ると、ベッドに体を押し倒された。
「今日はゆっくり休んだ方がいい」
「もう大丈夫です。いつまでも妹さんに手伝ってもらうわけにはいきませんから」
少し眠ったせいか、頭の痛みは治まったし、体もダルさは感じない。
「アイツのことなんか放っておけばいいんだ」
「そうはいきません!」
私には優しいくせに妹さんには何故か厳しいことを言う部長に反論すると、勢いよく体を起こす。
「……っ!?」
けれど帯が解かれ、浴衣に腰ひもだけという恥ずかしい姿に気づき、慌ててベッドにもぐった。