私の上司はご近所さん
昨日の月曜日はスカイツリーと浅草巡りをして、今日は銀座周辺を散策した。そして今は、夕食をみんなで取るために部長のマンションにお邪魔して、料理をしているというわけだ。
今日の夕食のメニューはトマトとモッツアレラチーズの冷製パスタとサラダ。パスタを茹ですぎずに済み、ホッと胸をなで下ろす。
「お兄ちゃんって頭はいいし、部屋の掃除や洗濯もほどほどにできるけど、料理だけは昔からダメダメなんだよね」
トマトをザク切りにしながら、沙也加さんがつぶやいた。
部長のマンションに上がったのは今日が初めて。キッチンと広いリビング、そして寝室は別という間取りの室内は、必要以上に物がなくスッキリと片づいているし、雨に振られて傘に入れてもらったときに貸したハンカチも洗濯しただけでなく、綺麗にアイロンまでかけてくれた。
それなのに沙也加さんの言う通り、どうして料理だけが苦手なのだろう。
茹でたパスタを冷水にさらしつつ、首を傾げた。
けれど、すべてをパーフェクトにこなしてしまうより、少しダメなところがある方が人間味にあふれていいと思った。