私の上司はご近所さん
駐車場に車を停められたのは午後二時。お昼ご飯を食べていない私たちは、まずは腹ごしらえをしようと、国道沿いのレストランに向かった。けれど、どの店も長蛇の列ができている。翔ちゃんとげんなりと顔を見合わせること、数秒……。
「百花。昼メシだけどコンビニのおにぎりでもいいか?」
江ノ島まで来たのだから、湘南の名物であるしらす丼や魚介類を食べたいと思っていた。けれど、あの行列に並ぶ気にはとてもなれない。
「……うん」
翔ちゃんの提案にコクリとうなずくと、コンビニに向かった。
海岸沿いのベンチに腰を下ろすと、コンビニで買ったおにぎりを食べる。
「百花、それだけで足りるのか?」
「翔ちゃんが買いすぎなんだって」
コンビニで買ったおにぎりは全部で六つ。私がふたつで、翔ちゃんが四つだ。
「だって、腹減ってんだもん」
「……」
少しスネた口調でそう言った翔ちゃんは、ひとつ目のおにぎりをあっという間に食べ終えてしまった。
成長期のような彼の食欲に驚いている私のことなど気にも留めない翔ちゃんは、おにぎりと一緒に買ったペットボトルのお茶をゴクリと飲む。そしてふたつ目のおにぎりのラップを剥がし始めた。
「百花も早く食えよ」
「うん」