私の上司はご近所さん
Story・7
残業Days
ゴールデンウイークが終わり、一週間が経った五月中旬。夏ショコラの発売とイベントを控え、ここ数日は残業が続いている。
時刻は午後七時。小腹が空いた私はバッグに忍ばせていたシリアルバーを取り出すと、ガブリとかじりついた。
広報部で残っているのは私ひとり。自分のデスクの場所だけ電灯が光っているオフィスの光景は、なんとも物悲しくて気分が塞ぐ。
私って要領が悪いのかな……。
まだ片づかない書類の山を見てため息をついたとき、廊下からコツコツとヒールの響く音が聞こえた。
「百花! やっぱり今日も残業なんだ」
広報部に姿を現したのは、同期の結衣。部署が違っても結衣とはランチを一緒に食べるため、私が連日残業していることを彼女は知っている。
「まあね。今日は結衣も残業だったの?」
「うん、そう。どうしても今日中に終わらせたい仕事があったんだ」
「そっか」
結衣は私の隣のデスクのイスを引くと腰を下ろす。明るい結衣と少し話しただけで、沈んでいた気持ちもどこかへ吹き飛び、自然と笑顔になった。
「ねえ、百花。合コンに参加しない?」
「合コン?」